2010年3月3日水曜日

DIALOG IN THE DARK

友人からの誕生日プレゼントで、かねてから興味があったDIALOG IN THE DARKに先日行ってきた。
小さい頃から近視がひどく、コンタクトレンズなしでの生活は想像も出来ず、ちょうど1年くらい前にフットサルで右目にボールがぶつかったため失明寸前の事態に陥る事件もあり、盲目の危機を常に身近に感じている俺としてはとても興味深い反面恐ろしくもあるイベントだった。

それは光のない世界の体験。そこにあるものが、触れてみるまでわからない。
想像はいくらでも出来るし、目を閉じてみればそれに近い体験は出来る。
でも実際に体験するのはとても怖い。イベントだから、終わりがあるから、楽しむことが出来たのは間違いない。
盲目の人たちの事を思うと、楽しんでしまう事が申し訳なく思える。
アテンドして下さった「隊長」など、楽しんでくれればそれで良いと思っている方もいるだろうが、きっと「そりゃアンタらはそこを出たら見えるんだからいいが、実際に見えなくなったら楽しいなんて言ってられないんだよ!!」と思う人もいるだろう。
でもこれはエンタテインメント。大変さを体験しつつ結果的には楽しんでもらうために行われているイベント。
楽しまなくては損である。どうせ実際に目が見えない事に比べたら非常に安全なものだ。

しかし目が見えない事の辛さはかねてから想像していた以上に、遥かに大変だという事がわかった。
「隊長」と一緒に体験した仲間たち8人、そのうち俺を含む3人が気心の知れた友人という事もあって和気藹々と過ごせたのだが、暗闇に慣れてきた頃に気づいたのが視覚以外の感覚、特に聴覚と嗅覚が研ぎ澄まされてくる感じ。
真っ暗闇のカフェで乾杯まで出来るようになった。
ここでは「助け合う」ことが当たり前となる。
声を掛け合い、お互いに自分の意思を伝えなければ思いは届かない。
自分の聴覚や嗅覚よりも人の温かさが最も大切なのではないかと思える時間だった。
土の、木の、水の、空気の、人の、ビールの、匂いも感触も味も全てが新鮮に感じられる。

どこに誰がいるのか、距離感まで掴めるようになって来た頃に終わりがやってきた。
少し残念な気がしたが、それもやはり申し訳なかった。
健康(という程ではないが)な目でいられることへの感謝の気持ちを忘れないための良い経験となった。

少しでも興味を持った人にはぜひ行くように薦めたい、本当に素晴らしいイベントだった。
そしてまた行ってみたいと思った。
会場で取っていたアンケートの集計では、また参加したいと答えた人が97%、他の人にも薦めたいと答えた人が99.5%となっているが、納得である。
一緒に入る人次第でまた感じ方が違うんだろーなーと思うと何度も足を運びたくなる。
あぁ、でもそれもやっぱりちょっと後ろめたい…。